格安SIMの料金プランが大手キャリア並に複雑化している

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格安SIMの料金プランがどんどん複雑化しています。大手キャリアのドコモ au ソフトバンクのように選択肢や割引サービスが増えてきた事で利用者にとってどのプランがお得なのかが分かりにくくなってきています。今回は複雑化しているプランの内容やその原因を考えてみました。

複雑化する携帯料金プラン

ドコモ au ソフトバンクの大手キャリア(MNO)でのややこしい料金プランとしては以下のようなものがあります。

  • プランの選択肢が多い
    ドコモでは1人用プランと家族シェア用のプランがあり料金体系が異なります。
    auの新プランのピタットプランはデータの従量制なので使いすぎるとどんどん料金が上がってしまいます。
    選択肢が多い事自体は悪い事ではありませんが、後付けで追加されていったため複雑化しています。
  • プランによって入れない条件がある
    ドコモでは無料通話のないシンプルプランは家族シェアパックもしくは1人用でも20GB以上のプランでないと契約できません。ソフトバンクではデータ1GB、2GBでは端末ごとの割引が利用できないので割安になる5GB以上のプランを選ぶことになります。
  • 端末は安くなるが、解約の違約金が高額になり割引が無くなる端末購入サポート
    「iPhone 一括0円」などと表示されるもののほとんどは、端末購入サポートでは違約金が高額(3万円〜7万円程度)になるので注意が必要です。ソフトバンクでは購入サポートを利用するとデータ1GBへの変更でも違約金が発生します。
  • 端末ごとに異なる月々の割引(24ヶ月間)
    端末ごとに割引金額が異なるので、本体代金と割引を差し引いた結果どの端末が安いのかがわかりずらいです。

複雑化の流れは格安SIMにも

大手キャリアではすでに複雑化している料金プランですが、格安SIM(MVNO)でも料金プランが近年複雑化しています。

月額1,480円を強調するワイモバイルとUQモバイルだが、1年目だけ

ワイモバイル、UQモバイルは2017年から店舗やWEBサイトで月額1,480円を強調して売り出しています。

ワイモバイル公式サイトのトップページ

UQモバイル公式サイトのトップページ

しかし、この月額1,480円の内訳は以下のようになっています。

1年目 2年目以降
プランS 2GB 2,980円 2,980円
月額割引
※1年目のみ
1,000円
家族割
※2回線目以降
※1年目のみ
500円
合計 1,480円 2,980円

1480円とするには以下の条件になります。

  • 一番安いSプランを選択(プランはS/M/Lの3種類ある)
  • 1年目だけ1,000円割引
  • 家族割で2回線目以降で1年目だけ500円割引
    家族割の1回線目は家族割引なし
  • データ容量は3年目から半分になる(ワイモバイルだけ)
    データ容量を最初の2年目と同じ量使うには500円のオプション契約が必要。

割引は1年目だけとなり、2年目以降は割引が無くなり最安のSプラン金額そのままなので2,980円とほぼ倍の金額になります。家族割が無い場合は、1年目は1,980円となります。

ワイモバイルでは3年目からデータ容量が半分もしくは500円増額

ワイモバイルでは契約から最初の2年間だけデータ容量2倍オプション(500円)が無料になっていて、ワイモバイルの料金表には2倍にされた後の状態が表記されています。

Sプラン 1GB → 2GB
Mプラン 3GB → 6GB
Lプラン 7GB → 14GB

3年目以降も同じデータ容量を使おうとすると月500円かかります。データ容量2倍オプション契約を解除した場合はデータ容量が半分になります。

厳密には、ワイモバイルはソフトバンクが運営し、UQモバイルはauを運営するKDDIの子会社なので、この2ブランドは格安SIMの中でも異質で、「大手キャリアのサブブランド」として位置づけられています。ドコモに関してはOCNモバイルONE(NTTコミュニケーションズ)が同じNTTのグループの企業ではありますが、ドコモからの影響を受けずに運営しているのでサブブランドとは呼ばれていません。

学割も短期間限定

ワイモバイル、UQモバイルでは学割でも、最初の3ヶ月間だけ基本料金が無料になるという短期間限定の割引を行っています。

楽天モバイル、U-mobileも1年目だけ安いプランを作り追随

楽天モバイルが2017年に発表したスーパーホーダイも、ワイモバイルやUQモバイルと同様の料金体系で、1年目だけ安くなっています。

楽天モバイル公式サイト

楽天モバイルのスーパーホーダイでもワイモバイルとUQモバイルと同じように1年目だけ1,000円の割引があり、さらに楽天ダイヤモンド会員なら1年目は500円の割引があるので、最安のSプランでは1年目だけ1,480円になります。2年目以降は割引が無くなるので2,980円が最安プランになります。

U-mobileでは、U-mobile SUPERというプランで、1年目だけ1000円安くなるプランがあります。
U-mobile SUPERではワイモバイルと同様に、契約当初の2年間だけデータ容量がアップしていて3年目からはデータ容量は約半分になってしまいます。

「2年目から値上げ」モデルが確立された?

大手キャリアのauも2017年に新プランのピタットプランを発表し、1年目だけ1,000円引きで最安だと1,980円から利用できるプランを作りました。

1年目だけ安く、2年目から料金が増額されるプランを提供する企業は以下となります。

データ容量 かけ放題 料金(税抜)
1年目 → 2年目
ワイモバイル
プランS
2GB
3年目から半分
もしくは500円のオプション
10分 1,980円 → 2,980円
UQmobile
プランS
2GB 5分 1,980円 → 2,980円
楽天モバイル
スーパーホーダイ
プランS
2GB 5分 1,980円 → 2,980円
U-mobile SUPER
SUPER Talk S
2GB
3年目から半分に
10分 1,980円 → 2,980円
BIGLOBEモバイル
スマホまる得プラン
1GB 3分 2,050円 → 2,980円
au ピタットプラン
シンプル
1GBまで
※従量制プラン
1,980円 → 2,980円

元々、1年目だけ割引するというサービスは、サブブランドのワイモバイルとUQモバイルが始めたものでした。その後、楽天モバイルのスーパーホーダイ、BIGLOEモバイル、U-mobileも1年目だけ安い料金プランを設置するようになりました。

原因は参入企業の増加と低価格競争の回避か

契約する会社は変わったとしても、携帯電話自体はずっと持ち続ける物なので、1年目だけの価格を強調することは消費者にとってはメリットがありません。

しかし、格安SIM業界では、

「参入企業の増加によって競争の激化」

「低価格競争を続ける事で利益率低下の回避」

という目的から、競合との顧客獲得競争に勝たなければ行けないことと、安さを追求する事への限界のために見かけの料金を安くすると言う方式に流れてしまってるため、料金の複雑化が行われていると考えられます。

格安SIMは40社以上がひしめく激しい競争に

元々、キャリアになるには電波の認可を総務省から取得する必要があるため事業としての参入障壁が高く、格安SIMの台頭する前はドコモ au ソフトバンク(J-PHONE Vodafoneの時代もありました)の3社だけで日本の携帯キャリア市場が形成されていました。

大手キャリアから回線を借りて提供する格安SIM(MVNO)が本格的に始まってから、MVNOはどんどん増え続け今では大小合わせて40社ほどの会社が格安SIM業界に参入しています。

格安SIMの買収は今後も増える?

2017年から2018年にかけて格安SIMは、

  • FREETELを楽天が買収
    FREETELを運営していてたプラスワン・マーケティングは楽天への売却後に民事再生法を適用している。
  • LINEモバイル運営会社の株式の51%をソフトバンクが取得

といった買収が行われてきました。市場がレッドオーシャン化しつつあるので、今後も買収や統合は増えて行くと考えられます。

低価格競争は限界に

当然、大手3キャリアだけで市場の顧客を奪い合っていた時代とは比べ物になららないほど企業間の顧客獲得競争は激しくなっています。

現在、格安SIM各社の料金は大きな差はなく、同じプラン条件での業界最安値と最高値の差は月額500円程度となっています。格安SIM利用者と大手キャリア利用者の支払っている平均料金の差は月5,000円という調査データと比較すると、格安SIM同士の料金の差はほとんどなく、どれも安いという状態です。

格安SIMは元々安さが特長の商品なので、料金の差が小さいと言うことは、格安SIM同士では単純な安さでの差別化が難しくなっているというのが現状です。

格安SIM(音声通話SIM かけ放題なし)の料金相場は以下のようになっています。

データ量 月額料金
3GB 1,700円
5GB 2,300円
10GB 3,200円

かけ放題で客単価の低下を抑える

冒頭に記載した、2年目に料金が高くなるプランはすべて「電話のかけ放題」がセットのプランです。かけ放題をオプションではなく元々セットで付ける事によって客単価を安くすることに限界がある問題を回避する意図も見えてきます。

一般層へ訴求する段階へ

格安SIMなどの新しい商品が世間へ認知されて行く段階としては、以下の4段階があります。

  1. 新しい物が好きな人達(アーリーアダプター)が最初に飛びつく
    格安SIMは安さが特長の商品なので、ITに強かったり節約志向の高い人が最初に利用し始めました。
  2. その人達に評価され、一部のメディアでも取り上げられる
  3. ユーザーを一般層(マジョリティ)へ拡大させるため、テレビCMなどマスメディアで広告を出稿する
  4. 社会的認知が広まり、一般層が購入するようになる

格安SIM大手のOCNモバイルONE、mineoはおよそ2015年あたりからテレビCMを開始し、後続ではありますが一気にユーザーを獲得して行った楽天モバイルは2016年から本格的にテレビCMを打っていました。

現在は、格安SIMの利用者は12.4%、認知度は89.1%という調査データ(MMD総研の調査)があり、4.の一般層の顧客に届いている段階にあると言えます。

見た目の料金を少しでも安くする手法が有効か

一般層の顧客を獲得する際は、CMや広告等で見せる料金(最安の場合の料金プラン)がいかに安いかを強調する必要がありますが、1年目(期間限定)だけ安い金額にすれば安い金額が噓にはならないためという目的があると考えられます。

細かく各社の条件を調べて比較をしない層が今のメインターゲットになりつつあるので、この手法が顧客数を伸ばす施策として有効である可能性はあります。

もちろん、大手キャリアのドコモ au ソフトバンクに比べれば確実に安い事は間違いないですが、長く使うと料金が上がるというユーザーにとってメリットのない料金体系では、長期利用してくれるユーザーの獲得がしにくくなるという問題点が出てくるでしょう。

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